何回も読んでいるし詰まらないわけじゃないけどいつも最後まで読み終わらない本、というのは誰しもあるかと思いますが、私が永遠に読み終わらない本はバルザックの『La Femme de trente ans(三十女)』です。
これは30歳になったときからパリの図書館で何回も何回も延長して借りています。
買ってしまったら積ん読になると思ったから。
しかし、現在私が住む、この陸の孤島では、図書館は有料だし、しかも遠くて行くのが結構面倒くさいわ、行く途中に、「ピュテン!ヴィエン、ヴィット(フランス語訳:Putain! Viens vite!)」とベタベタの訛りで友だちに叫んでいる、お世辞にも洗練されているとはいえないこの地独得のファッションの女の子たちがいるわで、借りに行く気が失せています。
「仕方ない、買おう」と思いました。
安くあげるには古本屋です。しかし、びっくりするほど人々が本を読まないこの地では、古本屋は一軒しかみたことありません。その本屋では、昔の装丁した古書専用で、ただの文庫本の古本はありません。
そして、古書店も書店も含めて、私の住むところから半径5キロメートル以内には書店はないようです。私の住むのは白人労働者階級の隠居老人が多い地区です。書店のかわりにやたら手芸屋があります。パン屋よりも数が多いくらいです。
ここの人たちは「本」というと通販のカタログか、キヨスクで売っている雑誌を思い浮かべます。
そんなわけでもともとヒキコモリの私はますますヒキコモリになりました。
ヒキコモリの私にはかかせないAmazon.frでさっそく検索です。
お、安いのがあった。3ユーロ80で送料無料。
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表紙が厭すぎて家に置きたくありません。
こちらがほしいのですが
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先日もレオノーラ・カリントンの本のことで迷って未だに結論が出ていないのですが、それなのにまた新たな問題が発生です。
「貧乏って厭だわ」と思わず溜息をつきながら口に出しそうになってしまいました。が、先日、うちの娘三歳が、「ビンボウってイヤダワ」と楽しげにのたまいながら遊んでいるのを見て慄然とし、「これからはそういうことを言わないように気を付けよう」と心に誓ったことを思いだし、口をつぐみました。